ジャイアニズム


〜 やられっぱなし武勇伝 〜




※ ジャイアニズムは決してサディズムではありません。「愛情」と書いて「ジャイアニズム」と読むのです。



第7回   スーパードクター 


その日、やはり彼は泥酔していた。

しかもかなり早い時間から呑んでいた。


いつものSの部屋。 もうすっかり遅い時間になり、日付が変わっていた。


彼はうつろな目でこう言った。

「へい、ぼーずめん! 左足を出して♪」

もうこうなったら誰にも止められない。 無駄なあがきは必要ない。

「靴下ぬいで、足をこっちに・・・ そうそうそう♪」


そしてジャイアニズムのスイッチが
ONになった。


彼は近くに落ちていた
コショウのフタを開けると、なんと私の足にふりかけた!

「え? お、おい、ちょっと・・・」

一面にコショウの香りがたちこめる。 そして・・・


なぜかこの部屋にはいろんなモノが落ちている。

彼は手に
「エス○ー」のカレー粉の赤い缶を持っていた・・・

「ま、まさか・・・。」


そのまさかである。 彼はカレー粉を大量に私の足にかけた!

そして手で私の左足に揉みこみだしたのだ。

まるで
肉料理の仕込みのように鮮やかな手さばき!

これには本場のシェフも真っ青であろう。   いや、それ以上に私が
真っ青だが。


カレーとコショウの混じった、なんともいえない香りが家中にたちこめる。

場所はSの普段寝ている
布団の上。 もちろんカレー粉まみれだ。


そして彼は落ちていたテープを手にとると、今度は私の足首から先にグルグルと巻きだした。

なぜか私のタバコのケースも一緒に足の甲に巻かれていた。

・・・異様な光景である。 まさに
地獄絵図とはこの事だ。

そして何重にもテープを巻かれると、完全に私の左足の足首から先が動かなくなった。

それを見た彼は一言、

「ギプス!」

そして・・・



「どうだ? オレ様の外科技術のスゴさは♪」 




・・・結局、そのあと丸一日くらいカレーの香りが私の左足とSの部屋から取れなかったとさ。






第8回   水とコーヒーとコーラ


その夜、またもや彼は泥酔していた。

そしてSの部屋。 
悲劇はいつもここで起きる。


Sは酒が飲めない。 T長はお酒が大好き。


もうすっかり朝の時間帯になっていた。


T長はマグカップをSの前に出すと、持っていた焼酎を注ぎだした。

そしてなぜか左手には
醤油が・・・


T長は右手に持った焼酎(ストレート)をSの目の前に突き出すと 「水!」

そして今度は左手の醤油を持ち上げると 「コーヒー!」

焼酎のカップと醤油ビンをカチンと合わせて 「コーラ!」


Sは苦笑い。 私はそんな2人のやりとりをジッと見ていた。

「あー、わかったわかった! とりあえず
をやるから♪」

T長はSに焼酎の入ったカップを渡す。

とまどいながらも躊躇なく飲み干すS。 ・・・苦い顔。 ティッシュで口元を拭う。

「あ? なーにそれ? ふ〜ん、そんな態度しちゃうんだ?
 じゃあコーヒーも飲んじゃいな YO☆

T長はそう言うと、マグカップに醤油を注ぎだした! そしてSに渡す。

またもや
とまどいながらも躊躇なく飲み干すS! あんたサムライだ YO!

再び苦い顔。 口元をティッシュで拭う。


数時間後・・・

2人は「スニッカーズ」を投げあいながら、

「スニッカーズ語って知ってるか? 『チャべス!チャべス!』とか言うんだぜ。」

と、仲むつまじく遊んでいました。 とさ。   なんじゃそりゃ。







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お前の物は俺の物。
俺の物は俺の物。



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