ジャイアニズム


〜 やられっぱなし武勇伝 〜




※ ジャイアニズムは決してサディズムではありません。「愛情」と書いて「ジャイアニズム」と読むのです。



第11回   伝説の技「ジェシ」


ある日のこと。

私とT長とSの3人は道を歩いていた。

前を歩いていた私の背中をT長はなぜか何度も拳で叩いていた。

もちろんそんなに強く殴っているワケではないので全然痛くはない。

また
いつものオチャメなイタズラなのだろうとタカをくくっていた。


「おっかしーなー。こんな感じだったんだけどなー。」

とT長はひとりごと。 無視をするとスネてしまうので、一応ツッコんでみる。

「・・・え、何が?」

「いやさ、
『ジェシ』って技があってさ。俺の地元では伝説の技だったんだけど・・・。」

「ジェシ? なんだそりゃ。」

「知り合いに1人だけスゲェ使い手がいてよ。そいつのジェシは全然力が入ってないのに、くらった奴は一撃で悶絶しちゃうの。」


そんなやりとりをしながらもT長は私の背中を叩いていた。 あいかわらず全然痛くない。

「おっかしーなー・・・ たしか、こう・・・ ちがうなー・・・。」

あいかわらずT長はブツブツひとりごと。

「あれ? あ、そうか・・・ 角度が・・・」



ずん!!!!!



はうっ!
 右肩から背中・・・そして全身にかけて電流が走る。

思わずその場でしゃがみ込んでしまった。

「おお! 今のだ! 今のが『ジェシ』だ! 偶然できた!」

一人、大喜びのT長。 
悶絶する私。 気にしないで歩きつづけるS。



結局T長のジェシは数10回に1回くらい成功するらしい。

あの日から私はT長の前を歩くのを極力避けている。

それでも彼は私の背中を見ると「ジェシ!ジェシ!」と言いながら叩き続けている.・・・

                         

                     ※ ジェシのポイント

                        肩甲骨にあるツボを上空から打ち下ろすような角度で体重を乗せるように突く。
                        その際、拳の硬いトコロで軽く殴るのがポイント。決して力は必要ない。
                        また、よいこは決してマネをしてはいけない。



第12回   リアルエンペラー

なんでこの人はいつも泥酔しているのだろう。

そんな当たり前の疑問も抱かなくなっていたある日のSの部屋・・・


T長の全身から
殺気がみなぎっていた。

「・・・? どうしたの?」

「キサマ・・・」

なんだろう。 私は特に彼の逆鱗に触れるような発言はしていない。


「オレ様はさっき自分のことを「余(よ)」と呼んだだろう?」

「ああ。」


「もし世が世ならキサマの首から上がなくなっていたわっ!」


・・・なるほどそういうコトですか。

ここはノリを合わせた方が無難そうだ。

「はっ! これはたいへん失礼を・・・」

「ふっ・・・ まぁ くるしゅうない。」



するとT長は近くにあったギターを持った。

・・・どうやら私の命は助かったらしい。 我ながら好判断だ。





T長はそのままギターのネック部分をつかむと、そのまま逆さまに高く持ち上げた!


「えー これでキサマをタテに斬る!」




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お前の物は俺の物。
俺の物は俺の物。



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