ハリー堀田と
    ケンちゃんの石

                                   文 ・ 画 ぼーずまん



             

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  第11回  〜 8時間経過 〜


 【現在AM3:02】

ケンちゃんの父とハリーの長電話は1時間近くになろうとしている。

股間の話からトントン拍子に話は展開していって、下劣極まりない猥談が異常な盛り上がりになってしまったのだ。

そして現在、ハリー達はアダルトビデオのモザイクについてかれこれ20分近い討論をしている。

ケンちゃんは失いかけた意識をようやく取り戻した。

いつも夜10時には眠りに落ちているライフスタイルの彼にとって、真夜中の3時というのは完全に未知の領域であった。

たびたび訪れる睡魔の誘惑を尿道の激痛がことごとくはね返していた。

そのせめぎ合いは、ツバを飛ばしながら電話越しに爆笑しあう友人と父の声をBGMにますます熾烈な戦いになっていく。

このまま眠りに落ちても良いのだろうか・・・

もしそのまま二度と目を覚まさない事になったら・・・

ケンちゃんは目に涙を溜めながら必死に戦っていた。

・・・その時、ふと尿道の激痛が軽くなったように感じた。

これは神のゆるしなのだろうか・・・もう、眠ってもいいと・・・

「さようなら、ハリー・・・お前に会えてよかったよ・・・ありが・・・とう・・・。」

親友の背中にかすれる声で別れを言った。

その声はだんだんと小さくなり、最後の方はほとんど聞こえないものであった。

ケンちゃんはゆっくりと目を閉じた。

体が軽くなる。

まるで宙に浮いてるようだ。

尿道を切り裂くような痛みも、グショ濡れになったパンツも、もう気にならない。

ケンちゃんの寝顔はまるで天使のような慈愛に満ちていた。

「ぎゃはっはっは!さすがは父上!マニアですな!」

『いやいや君こそなかなか良い目をしている!あの頃のAVは最高だった!』

「いやー、あの監督の作り出すエロスの世界はボクには刺激が強かったですよォ!」

深夜の木造アパートにはハリーのバカ笑いだけが響いていた。


                つづく


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